その他

【2019年12月時点】日本人が取得できるシンガポールの就労ビザについて

INSEAD留学時はフランスで留学生活を始め、シンガポールに移動してから就活を始めて、卒業までずっとおりました。

海外就職にも関心があったのでシンガポールを中心に応募して内定をもらう事もできました。

https://twitter.com/tominsead/status/1204358132048097285?s=20

就職する際に必要となる就労ビザについて、就活を終えた201912月時点で僕が認識していた限りの情報を整理しておきます。

就労ビザ枠の考え方

シンガポールに限らず、どの国家も就労ビザを誰にでも付与するわけではなく、外国人に就業ビザを与えて自国で働いてもらう事で下記のような事を期待しています。

税金:事業が生む利益への法人税や給与への所得税が発生する

経済効果:企業が物品・サービスを発注したり、給与を受け取った社員の消費が生じる

雇用創出:成長・成熟した事業に従事する社員として国民が雇用されることで社会が安定・発展する

就労ビザを付与してもらうためには、その雇用がこのような目的に資するものであるとシンガポール政府(MOM:Ministry of Manpower、労働省の事です)に理解してもらわなければなりません。

シンガポールでは就労ビザの基準が明示されているわけではない一方、経験則でざっくり「外国人1名に対して国民67名を雇用する」事が求められると考えられており、この条件を満たせない企業は警告を受けた上で就労ビザの更新・新規付与が差し止められるとされています。

ただし、スタートアップといった小規模な企業では、社員が10名にも満たない場合もあり、その企業が将来創出しうる雇用や経済効果を勘案して個別に判断するといった事例もあるようで、一概には言えません。

あくまで目安として、国民:外国人=671くらいなんだなーと捉えておくのが良いと思います。

就労ビザの種類

EP: Employment Pass

一定以上の収入がないと取れない就労ビザ。月収が6,000ドル(約50万円)以上だと配偶者にDP後述)が付与される。

自分の就労ビザがEP/S Pass(後述)のどちらになりそうか、シンガポール労働省が公開しているSATというツールで確認が可能(この結果がビザ承認を保証するものではない事に留意する必要あり)。

Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)

例えば大学院卒で33歳の僕の場合は、5,100ドル以上の月収でEPが降り、それ以下の数字を入れるとS Passのみという結果が出てきます。

S Pass

EP保持の基準に満たない収入の際に付与される就労ビザ。配偶者にはDPは付与されない。

EPでは負担のない外国人雇用税がかかるため、給与の差額ほどには企業の負担はEPと比較して軽くなく、就労ビザの枠(先述の国民:外国人=671の比率)はEP/SPASSで区別されないと考えられることから、限られた外国人枠をEPに振り向けたい企業が多く、その観点では取得がより難しい就労ビザ。

DP: Dependent Pass

月収が6,000ドル(約50万円)以上のEP保持者の配偶者に付与されるビザ。DP保持者は就労ビザの枠と関係なく就業できるため、企業からは人気の就労ビザ。

PR: Permanent Resident

永住権。国民に近い扱いとなり、CPF(シンガポールの国民年金)などの社会保険にも強制加入。その分、企業の金銭的な負担は重くなるが、就労ビザの観点では企業としては雇いやすい。

EP/S Passの付与枠についての補足

付与枠がS Passのみに適用されるとするWebサイトも見かけました。

その真偽を確かめる事は僕にはできないのですが、1つの事実として、留学していた時にはMBBを始めとする戦略コンサルティング会社はシンガポールの雇用はほぼシンガポール人(PR保持者を含む)に限定していました。

EPの付与に制限がないのであれば、他の国・都市のオフィスと同様に、国籍に関わらず最も優秀な候補者にEPを付与すれば良いはずなので、EPの付与にも制限があると考えるのが自然かなと思っています。

日本人のモデル生活費

狙う就労ビザにも関わるので、どの程度の所得を目指してシンガポールでの就職活動をすれば良いのかの目安です。

圧倒的に家賃に左右されるため、勤務地や通勤時間・求める生活環境で大きく変わる点はご了承下さい。

事例1:夫婦

合計:2人で約4〜5,000ドル/月。内訳のイメージはこんな感じ。

家賃:2,500ドル(50平米)

携帯:100ドル

交通費:100ドル

食事:2,000ドル

光熱費:150ドル

事例2:独身

合計:1人で約3,000ドル/月。内訳のイメージはこんな感じ。

家賃:1,500ドル(コンドミニアムをシェアしてマスターベッドルームに住む場合)

携帯:50ドル

交通費:100ドル

食事:1,000ドル

光熱費:100ドル

就労ビザについてどうやって調べるか?

シンガポール労働省の公式サイト

先述の審査ツールを含めて、就労ビザの種類や特徴については、最も信頼できる情報源になります。

Work passes and permits | Ministry of Manpower

人材エージェント

とはいえ、英語の公式サイトをつぶさに確認するのは面倒ですよね、分かります。

実際に申請する時はその程度の労を取らずに済まそうとするのは危険ですが、取っ掛かりとしてざっくり確認するには、シンガポールでの転職案件を扱っている人材エージェントさんに確認すれば、最近の事例に基づいた知見を共有してもらえるはずです。

僕自身、シンガポールの情報については、特にJACさんにお世話になりました。真剣に海外就職を考えている方にはおすすめです。

また、内定をもらった時は現地の人材エージェントを経由していたので、会社・エージェントにもEP承認の確度や所要時間を確認したりしました(大体3週間程度だが当時はクリスマスが近かったので4〜6週間を覚悟した方がいいかも、との事でした)。

経験者

知り合いもしくはLinkedInなどのWebツールでシンガポールに転職した人を探してコンタクトしてみるのも有効かと思います。

国をまたいだ転職について情報交換ができる友人・知人が圧倒的に増えるのが、MBAの効用の1つだなあと卒業してみて実感します。

シンガポールの就労ビザはまだまだ取れる

米国をはじめ、世界的に外国人の受け入れに消極的なムードが見受けられます。シンガポールはどうなんでしょうか?

上述の通り、戦略コンサルティング会社の雇用は(恐らく既に相当の外国人にEPを付与しているため)シンガポール国民にほぼ限定されていましたが、自分の周りを見る限りは、GAFAなどの大手企業のアジア統括拠点、スタートアップ(僕がEPスポンサー付きの内定をもらったのもスタートアップです)やVCといった分野での就職を決めた同級生は少なくなかったですし、シンガポールで法人設立・登記をして起業に挑戦したり、シンガポールのアクセラレーションプログラムに参加するために長期滞在する同級生も相応にいました(起業家には就労ビザとは別に起業家ビザがあるそう)。

シンガポール政府はとても合理的なので、国家の発展に資する業界・職種での就労ビザ獲得は十分に可能であるというのが僕の肌感覚です。

免責

最後になりますが、僕は当該分野の専門家ではなく、就労ビザの承認は行政の裁量も大きいため、本稿の情報は参考程度に留めて頂き、就労ビザの申請に際してはご自身の責任においてお勤め先・転職先と細心の注意を持って正確な情報を確認の上で手続きを進められて下さい。

ただ、就労ビザの事をゼロから調べるのも大変な作業なので、本稿を取っ掛かりにして理解を深めていって頂ければ嬉しいです!